学生クリーン・ビーチいしかわ大作戦2014 プロジェクトⅡ 講演会

有人潜水調査船「しんかい6500」の女性初のコパイロット(副操縦士)になった外崎瞳さん(29歳)。学生と年齢も近く、親しみとエールを込めて、子どものころからの夢を実現した過程と、未来の夢を語ってもらいました。
外崎顔写真
■プロジェクト Ⅱ <石川県西田幾多郎記念哲学館>
「クリーン・ビーチいしかわ」活動20年目を迎えて
講演会(13:30~15:00)
“海と私の夢”~深海の神秘を求めて~
講師:外崎 瞳(とのさき ひとみ)さん
独立行政法人海洋研究開発機構「しんかい6500」コパイロット 二等潜技士
参加者 100人
<子どもの頃>
本でダイオウイカの目玉は直径40cmもあることを知りました。そんな大きなイカがいるなら会ってみたいなー・・・と思い、深海に棲む生物に興味がわきました。それからは、テレビで深海の番組があると見るようになり、その映像を提供しているのが「JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)」だということを知りました。
<高校時代>
JAMSTECに見学に行き、そこで「しんかい6500」を初めて見ました。これに乗ると、深海の生き物を見ることができる!それでJAMSTECで働きたいと思いました。
<大学時代>
ではどうしたらいいか。それなら北海道大学水産学部だと勝手に思いました。入学後は、スルメイカの飼育実験研究室で飼育研究に明け暮れていました。
<就活>
JAMSTECの面接では、「ダイオウイカに会うためにパイロットになりたい」と伝えました。面接官に苦笑いされましたが、無事入職することができました。
<就職>
◆1年目 調査船に乗る研究者選定委員会の事務局で働きました。その間も、事あるごとにしんかい6500に乗りたいと周りに言い続け、電気理論を自学し、また人に教えを乞いに行っていました。するとある日・・・
<パイロットへの道>
◆2年目 しんかい6500を運航している日本海洋事業㈱に出向を命じられ、支援母船「よこすか」での生活が始まりました。
パイロットの仕事は、主には整備です。いったん海洋に出してしまうと、故障の場合は、全て自分たちで修理しなくてはなりません。
潜る前の重要な作業のひとつに、コックピット(操縦室)内の二酸化炭素を取り除くために必要な作業があります。二酸化炭素の吸収材は、水酸化リチウム。その詰め替えは、完全防備の防護服を着用してするルーチンワークのひとつで、気管に入れないように注意を要する作業でした。
「よこすか」に乗船したての頃は、何をしていいのか分からず、誰と話せばいいかも分からず、自分がその時どうしていたのかも思い出せないくらいなので辛かったんだろうなぁと思います。周りが全く見えていない時期です。
冬になると母港の横須賀本部の整備場で、年に1回船体をばらばらにして開放整備をします。その時、メーカーの整備士とともに整備をし、機械の取り扱い方や電気の仕組みなど教えてもらいながら技術を習得し、研鑽を積んでいきました。
◆3年目 整備を覚え、訓練潜航を繰り返し、ついに副操縦士になりました。
パイロットになると、研究者と共に「しんかい6500」に乗って深海に潜ることができます。深海に潜るたびに、「今日、世紀の大発見をするかもしれない」という、ドキドキ感やせっかくのチャンスを生かせなかった申し訳なさなど、肌で感じられる仕事でした。一回潜ると長い乗船生活の中での辛いことなど吹っ飛び、また潜りたくなる。それほど深海は魅力的なところです。
<今の夢・これからの夢>
現在は広報課にいますが、次の女性パイロットの育成と加入の後押しに力を注いでいきたいです。そして将来母になり、「お母さんパイロット」として深海に再び潜りたい。そして、しんかい6500の次世代機を作り、今の子どもたちが大きくなった時に、活躍する場をつくることができればと思っています。
<大変だったこと・辛かったこと>
船に乗ってしまうと、普段の生活のように気軽に連絡も取れません。下船までは会いたい人にも会えなかったことです。
<楽しかったこと>
徐々にチームの皆とも打ち解け、居心地のよい職場に感じるようになっていきました。その頃からは各寄港地を訪問した時に、そこで仲間と一緒に楽しい思い出を沢山作ったことです。
何よりも深海生物に会えることが楽しく、やめられない仕事だと思います。
しかし、下船日の前の日はワクワクしてしまいなかなか眠れないくらい、乗船を終えて家に帰ることも楽しみでした。
<高校生の頃の自分に言いたいこと>
嫌いな学科があっても、基礎知識としてなんでも知っておいた方がいいと思います。「必要ない」と思っても、勉強しておけばいつか役に立つ日が必ず来ます。
<大学生の皆さんに言いたいこと>
「どうしてもやりたいこと」「ゆずれないこと」を口に出して言うと、それを助けてくれる人や、力になってくれる人が現れるものです。勇気を出して話してみましょう。「夢をあきらめない姿勢」が、いつか夢をかなえます。
看板1

講演会開会式

参加者1

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